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ニュースリリース | 日本格付研究所 JCR 15d0136 5

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15- D- 0136 2015 年 5 月 22 日

電力各社の 15/ 3 期決算の

注目点

一般電気事業者 10 社(東京電力、中部電力、関西電力、中国電力、北陸電力、東北電力、四国電力、九州電力、 北海道電力、沖縄電力の 10 社。電力各社)の 15/ 3 期決算および 16/ 3 期業績予想を踏まえ、株式会社日本格付研 究所(J C R)の現況に関する認識と格付上の注目点を整理した。

1.業界動向

15/ 3 期は13年 7月に定められた原発に係る新規制基準の適合性審査が本格化した期であった。足元では 全 43 基中、審査中のプラントは23 基に上っている。しかし電力会社が想定する再稼働時期からは大幅に後 ずれし、再稼働に至ったプラントは未だにない。一方、政府によるエネルギーミックスの議論は佳境に入っ てきた。長期のエネルギー需給見通しの検討では、30 年の総発電量のうち火力の比率を 6 割以下へ引き下げ る一方、原子力は 22∼20%程度、再生可能エネルギーは 22∼24%程度とする方向を模索している。最終的 な結論を見定める必要はあるが、おおよその電源構成比が示されたことで、電力各社は既存原発の取扱いや C O2 排出量の削減に関連する火力発電所の取扱いに対し、意思決定がしやすくなったといえる。関連して原 発の廃炉を円滑に進めるための会計制度が措置されており、これを受けて 4 社が高経年化原発5 基を廃炉す ることを決定している。

東京電力福島第一原発事故以降、殆ど先を見通すことができなかった電力各社の経営環境は、少しずつだ が改善の兆しが現れつつある。しかし核燃料サイクルの確立や原子力損害賠償責任のあり方など、原子力政 策の根本に関わる課題について十分な議論はなされていない。将来的に総括原価方式が撤廃される中でバッ クフィットの対応に迫られ、安定した投資回収が危ぶまれる可能性があるなど、原発事業に対する長期的、 構造的な環境整備が課題となっている。近時では原発に対する司法判断に留意が必要な事態も生じるなど、 電力各社の自助努力で吸収できないリスクは依然として多い。

15/ 3 期の電力各社の販売電力量合計は8, 230億 kWh、前期比 3. 0%減と東日本大震災以降、4 年連続で前 期を下回った。その要因は経済影響が若干プラスに働いたものの、気温、節電、需要離脱の各影響がマイナ スに作用している。気温影響による冷暖房需要の増減はともかく、定着した節電状況をみるに、今後原発が 再稼働し、供給力が回復した場合でも電力需要が大きく増える可能性は小さくなってきている。

一方電力供給に関しては、3 段階にわたる電力システム改革のうち、第 2 段階である 16 年の小売参入全面 自由化や卸規制の撤廃を見据え、発電、小売市場への参入を表明する新規事業者が数多く現れてきた。一部 電力各社においても供給区域外への進出を意図した展開を発表している。ガスシステム改革もスケジュール 化されるなど、今後の競合状態のレベル感は想定できないものの、独占的であったエネルギー供給市場に競 争原理が働く可能性は高まっている。ただし、全面自由化された場合でも電力やガスは典型的な装置産業で あり、規模の経済が働く点は変わらない為、今後の各社動向が注目される。東京電力と中部電力が燃料調達 と発電部門で協調行動を取るように、これまで想定しえなかった合従連衡の可能性もある。なお、改革の第 3 段階である 20 年を目途とした送配電部門の法的分離は諸課題の検証と議論を重ねたうえで実施される予定 だが、先行して東京電力が 16 年 4 月に持株会社体制に移行することを発表している。

2.決算動向

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の 7 社による電気料金の値上げ効果と値上げによる燃料費調整制度のプラス効果があったこと、加えて再生 可能エネルギーの固定価格買取制度に基づく交付金などが増加したことによる。また増益の要因は、増収効 果に加え、円安影響を受けつつも原油価格の下落や販売電力量の減少による燃料費の減、さらには人件費や 修繕費の低減などの徹底したコスト削減が寄与したことが挙げられる。16/ 3 期業績予想は、原発再稼働時期 が見通せないことなどを理由に、8 社の 16/ 3 期業績予想での利益は未定となっているが、油価の低下と燃料 費調整制度のタイムラグによる利益の押し上げ効果は剥落するとみられる。

ただし、電力各社間では業績の格差は拡大している。電源構成上、原発依存度が高い関西、九州、北海道 電力の 3社は、想定通りに原発が稼働しないことで代替火力燃料費の負担が依然重い。燃料費や購入電力料 など需給関連費用が中心の原価構成を早期に変えることはできず、修繕費の繰り延べなどの経営効率化では 賄えず、4期連続の経常赤字となっている。喫緊の課題である赤字解消に向けて、北海道電力は 14年 11月 に、関西電力も 15 年 6 月に電気料金の再値上げに踏み切ることで、業績悪化の懸念は後退している。

財務面では沖縄電力を除く各社の自己資本は、東日本大震災以降大幅に毀損したが、利益の回復や資本増 強によって修復が進みつつある。電力各社合計での自己資本比率を見ると、10/ 3期の 23. 7%から13/ 3期ま でに 14. 2%まで低下したが、15/ 3 期では 16. 1%まで上昇している。ただし、原発の新規制基準対応の為の安 全対策や繰り延べを続ける既存設備の修繕、さらには新規電源開発など投資案件は山積しており、財務構成 の改善ペースは緩やかなものになると想定される。

3.決算における格付上の注目点

審 査 が 終 盤 を 迎 え た 九 州 電 力 川 内 原 発 の 再 稼 働 の 動 向 が 当 座 の 大 き な 注 目 点 で あ る 。 同 原 発 の 再 稼 働 は 「新規制基準を満たした原発は再稼働させる」という政府方針の下で新規制基準のプロセスが確立したこと を意味し、業界全体の信用リスクを縮小する効果がある。個々のプラントはその特性や立地自治体、周辺自 治体の理解、司法の判断などによって差異はあろうが、審査全体としてはペースアップする可能性がある。

ただし原発の再稼働が急速に増えるシナリオは描きづらく、当面は火力発電に頼らざるを得ないであろう。 市況変化の大きな燃料価格の動向に左右されやすい局面が続くと想定する。15/ 3期は、収支改善の要である 原発再稼働に目途が立たないことの影響差が鮮明に現れてきた決算といえる。東京電力福島第一原発事故か ら 5 年目を迎え、財務体力にもかなりの差が生じてきている。こうした差は今後の競争力強化のための投資 行動に影響が及ぶ可能性がある。また、小売参入の全面自由化を控えた中での電気料金の値上げは、短期的 な信用力の維持に寄与する半面、中長期的には競争力の低下を招く。電力各社としては徹底した経営効率化 を図りつつ、原発再稼働に向けた取り組みと自由化を控えた戦略を同時並行的に取り組むことが共通した課 題になっており、その巧拙が注目される。

以上を踏まえると、電力各社の格付は、業界全体に共通する制度的な枠組みを重視する基本スタンスを維 持しつつも、個社の事業リスクや財務リスクの定量的評価を加味するウエイトをより高めていく必要がある と考える。なお、全面自由化の影響が最も現れやすいのは首都圏と考えられ、足元では首都圏への電力供給 を目的に石炭を中心とした火力発電事業への参入を表明する事業者が相次いでいる。新規参入事業者として は安定した燃料調達と価格競争力を持つベース電源を持つことに魅力はあるが、投資回収の視点からは温室 効果ガス抑制の視点からの規制変更リスクへの対応や、石炭より安価な原発が復帰した際の需給バランスの 軟化への対応などには注意を払っておく必要がある。

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(図表 1)電力各社の連結業績の推移 (単位:億円、%)

決算期 売上高 前期比 経常損益 当期損益 自己資本比率

東京電力 14/ 3 期 66, 314 11. 0 1, 014 4, 386 10. 5

( 9501) 15/ 3 期 68, 025 2. 6 2, 080 4, 516 14. 6

16/ 3 期予 - - - -

中部電力 14/ 3 期 28, 422 7. 3 - 926 - 653 24. 2

( 9502) 15/ 3 期 31, 036 9. 2 602 388 26. 1

16/ 3 期予 28, 600 - 7. 8 1, 300 900

関西電力 14/ 3 期 33, 275 16. 4 - 1, 113 - 974 15. 3

( 9503) 15/ 3 期 34, 060 2. 4 - 1, 131 - 1, 484 13. 4

16/ 3 期予 - - - -

中国電力 14/ 3 期 12, 561 4. 7 - 36 - 94 20. 4

( 9504) 15/ 3 期 12, 996 3. 5 588 326 19. 9

16/ 3 期予 12, 540 - 3. 5 - -

北陸電力 14/ 3 期 5, 096 3. 5 99 25 22. 6

( 9505) 15/ 3 期 5, 328 4. 5 223 90 22. 7

16/ 3 期予 5, 500 3. 2 - -

東北電力 14/ 3 期 20, 389 13. 7 391 343 12. 6

( 9506) 15/ 3 期 21, 821 7. 0 1, 166 765 14. 6

16/ 3 期予 21, 000 - 3. 8 - -

四国電力 14/ 3 期 6, 363 13. 3 - 17 - 33 20. 6

( 9507) 15/ 3 期 6, 643 4. 4 245 103 21. 5

16/ 3 期予 6, 800 2. 4 - -

九州電力 14/ 3 期 17, 912 15. 9 - 1, 314 - 961 10. 5

( 9508) 15/ 3 期 18, 735 4. 6 - 737 - 1, 147 9. 0

16/ 3 期予 18, 800 0. 3 - -

北海道電力 14/ 3 期 6, 303 8. 1 - 954 - 630 7. 6

( 9509) 15/ 3 期 6, 929 9. 9 - 93 29 9. 8

16/ 3 期予 7, 660 10. 5 - -

沖縄電力 14/ 3 期 1, 793 7. 7 69 47 32. 7

( 9511) 15/ 3 期 1, 850 3. 2 76 49 34. 9

16/ 3 期予 1, 837 - 0. 7 54 39

10 社合計 14/ 3 期 198, 428 11. 3 - 2, 788 1, 457 14. 7

15/ 3 期 207, 422 4. 5 3, 021 3, 636 16. 1

(出所:各社決算短信より J C R 作成)

【参考】 発行体:東京電力株式会社

長期発行体格付:A 見通し:ネガティブ

発行体:中部電力株式会社

長期発行体格付:A A 見通し:ネガティブ

発行体:関西電力株式会社

長期発行体格付:A A - 見通し:ネガティブ

発行体:中国電力株式会社

長期発行体格付:A A 見通し:ネガティブ

発行体:北陸電力株式会社

長期発行体格付:A A p 見通し:ネガティブ

発行体:東北電力株式会社

長期発行体格付:A A - 見通し:ネガティブ

発行体:四国電力株式会社

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発行体:九州電力株式会社

長期発行体格付:A A - 見通し:ネガティブ

発行体:北海道電力株式会社

長期発行体格付:A A - p 見通し:ネガティブ

発行体:沖縄電力株式会社

長期発行体格付:A A A 見通し:安定的

■留意事項

本文書に記載された情報は、J C Rが、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、または

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■本件に関するお問い合わせ先

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